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倒産処理におけるEPCの立ち位置

【図解】従来フロー(放置)とEPC介入の比較 従来フローとEPC介入の比較タイムライン
なぜ「Step 0(受任前介入)」が必要なのか?
上段(従来)のように、弁護士受任までの空白期間に「資産の持ち出し」や「固定費の増大」が発生し、トラブルが拡大します。EPCは下段のように、Step 0で即座に現場へ「盾(ブロック)」を配置。カオスを物理的に遮断し、整然とした状態で弁護士へバトンを繋ぎます。
STEP 00 事業停止・EPC介入(受任前)
【委任状の締結・鍵の預かり】
経営者様より「整理業務委任状」を取得し、EPCが現場に入ります。この時点で現場を物理的にロック(封鎖)し、第三者の侵入や資産の散逸を即座に防ぎます。
STEP 01 現場保全・証跡整理
EPCスタッフが現場に入り、「資産」「重要書類」「ゴミ」を分類します。
  • 換金価値のある資産:リスト化して保全
  • 重要書類:カテゴリー別に保管
  • 不要なゴミ:廃棄して固定費(明渡しコスト)を削減
STEP 02 受任弁護士への引継ぎ
整理業務の完了後、EPCは「鍵」と「管理権限」および作成した整理資料を、申立代理人である「受任弁護士」へ引き継ぎます。
EPCの実務はここで完了し、以降は破産管財人による法的な配当手続きへ移行します。
■ 業務期間および責任範囲に関する特記事項
  • EPCの業務期間は通常1〜6ヶ月ですが、案件の規模により異なります。
  • 稀に、整理後に弁護士が受任しない(受任できない)場合がございます。その場合、その後の報告義務や対応責任は当事者(依頼主様)に帰属します。EPCには法的代理権限がないため、受任後の対応は致しかねます。
02

債権調査・証拠保全フロー

「誰に、いくら借金があるか」を確定させるため、現場に散乱した情報のパズルを組み立てます。

PROCESS A 書類の物理的確保(発掘)
現場に散乱した郵便物、段ボールの中から、「請求書」「契約書」「納品書」のみを抽出・ファイリングします。
PROCESS B 突合(とつごう)と精査
抽出した書類と、PC内の会計データや銀行通帳の出金履歴を照らし合わせ、金額に矛盾がないか確認します。

■ 債権額確定に必要な証拠(Evidence)

1. 契約の根拠

基本取引契約書、賃貸借契約書、リース契約書、ローン契約書、申込書控え

2. 金額の根拠

請求書(未払分)、納品書(受領印あり)、給与明細、タイムカード

3. 決済の記録

銀行通帳(過去3年分)、領収書控え、クレジットカード利用明細

4. 公的な記録

税金の納付書、社会保険料の決定通知書、登記簿謄本

03

賃貸物件の明渡し・原状回復

家賃(固定費)の発生を止めるため、最も経済合理性の高いルートで明渡しを実行します。

明渡し完了後の室内
JUDGMENT 資産価値の判定と処理方針の決定
A:換金性が高い場合

A:換金性が高い場合 EPCは対象資産の整理・搬出作業、および買取業者の手配(紹介)までを支援します。実際の売却判断は、代表者様(または受任弁護士)の管理下で行っていただき、適正に明渡し費用や予納金等の原資として確保します。

B:換金性が低い場合

価値がつかない物は、借主より「所有権放棄」を正式に行い家主様に処理をお願いするか、破産管財人の処分指示を待ちます。

EXECUTION 仕分け・搬出・簡易清掃
方針決定後、速やかに搬出を行います。無駄な保管期間をなくし、家主様には早期の物件返還を、債権者様には資産の目減り防止を提供します。
最終的に掃き掃除を行い、鍵を返却して業務完了となります。